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最強のふたり

映画最強のふたりのあらすじ・感想

スラム街出身の黒人の青年、ドリスは脊髄損傷により車椅子生活のフィリップの介護人となる面接を受ける。身体障害者に対する熱心な面接を受ける人達をよそに、ドリスは失業手当を貰う為の手段としか捉えておらず、失礼な態度で面接を臨んでいた。だが、かえってそれがフィリップの目に止まり、採用される事になる。ドリスのフィリップへの雑な扱いに咎められる事もありつつも、男同士の友情が育まれていく。

公開年 2011年
監督 エリック・トレダノ
出演キャスト フランソワ・クリュゼ/アンヌ・ル・ニ/オドレイ・フルーロ/クロティルド・モレ
音楽 ルドヴィコ・エイナウディ

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最強のふたりの動画を観た感想

30代男

この作品には脊髄損傷により、首から下を動かすのが困難となった男性と乱暴な立ち振る舞いをする本来なら相反する2人が登場します。身体障害者への対応が乱暴なシーンがあり、はらはらするものも多々ありますが、2人の関係性がそれすら暖かなスキンシップなものに見えてきます。慎重で表面上での親切に嫌気をさしたフィリップが求めた対応なのだろうと感じ、障害を越えた友情が見どころの作品となります。
私は実話を元にした作品と知り、視聴とした時は上記のように乱雑すぎるドリスの対応に下手したら怪我するのではないかと思ってヒヤヒヤしていました。時には、フィリップがドリスの振る舞いに叱責する事もありますが、彼はそれすら気に留める事もなく、逆にフィリップの言動や考え方を指摘してしまう始末でした。フィリップの言動は正論ですが、ドリスの価値観を受け入れて一緒に行動する姿は微笑ましいもので、見ていて朗らかな気持ちになれる作品で誰にでも勧められる映画です。

30代女

この物語は、パラグライダーの事故で首から下が麻痺したパリ在住の大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)に、刑務所から出たばかりの黒人青年ドリス(オマール・シー)が介護者に雇われるというノンフィクション作品です。

ドリスは失業手当をもらうために仕事の面接を受け、面接を受けた証明書だけ書いてもらうためにフィリップの面接に来ました。ドリスは始めフィリップの元で特に働く気はありませんでした。
この一部始終を見ていると、ドリスは人生に何の目的もなく絶望的に動物的な本能のまま生きているのが浮き彫りになります。

そんなドリスの姿を見たフィリップは、やりたいのに何も出来ない自分と重ねたのでしょう。実際、ドリスの状態は自由で縛られることもないが良いようで辛い毎日だと思います。毎日が同じで、ひどい生活に味気のない日々。経歴から見ても良好にはならないというドリスの諦め。実際、地獄のような日々だと思いました。しかし、それがフィリップにとっては良かったのでしょう。気持ちが分かるからこそ、ドリスに自信がもてるように促していくのです。

徐々にドリストフィリップの関係は良好になっていきます。環境や年齢、趣味も違う二人が受け入れ合うために必要なことは、ただ楽しむ。
また、ドリスとフィリップはお互いに自分の世界を見せ合います。劇中ではそれがナチュラルに描かれていました。二人のこの行動はお互いに敬意があるからこそ出来る行為ではないでしょうか。

そして、ドリスが首から下が麻痺したフィリップの手となり足となる。これは、信頼がなければ、苦痛なだけ。「介護をしてます」ではなく、相手の気持ちを理解した上で互いにタックルを組むといった感覚でないとドリスもフィリップもストレスでしかない。

ドリスはフィリップを特別扱いしない、また、フィリップも自分を特別扱いしないドリスに親しみを得ているところに、障害者だからといって腫れ物に触るように接さない、素晴らしい関係性が生まれたんだと思いました。誰だって、腫れ物に触れるように毎日接されたら嫌にもなります。初めの面接時にフィリップがそれを感じているのが劇中でもリアルに現れていました。

また、ドリスはみんなが思っていることを平気で口に出す性格。ドリスとフィリップがオペラのコンサートに行った時、ドリスが「木が歌ってる」と爆笑するシーンがとても面白く、何回見ても爆笑してしまいます。また、フィリップもそれを聞いて見て笑う。この二人の姿に年齢を重ねても少年のままの気持ちが愛らしく、心に温かいものを感じました。

フィリップとの生活の中でドリスはどんどん出来ることが増えていくところも素晴らしかった。そして、周りとの関わりにドリスの優しい人間性が見えました。始めはフィリップの使用人や子供に煙たがられているドリスですが段々と信頼を得ていく、これまで見た目や経歴で色眼鏡で見られることが多かったと思われるドリスに「人は見た目じゃない、人間性を見ろ」と言われている気がしました。

ラストに、ドリスはフィリップに文通している女性に会うように仕向け、更にフィリップに勇気を与えます。劇中では語りだけですが、その後、フィリップの未来はドリスの行動によって大きく変わっていくのです。そして、ドリスもフィリップに出会えたことで大きく人生が変わっていきます。正直、このエンディングは何度見ても目頭が熱くなってしまいます。

この映画を見て、ドリスとフィリップのこの関係性が心を通わせ合うきっかけとなり、お互いに心が潤い、成長し友情を育んむことに繋がっていると感じました。

二人のちぐはぐだけど間違いのない信頼と友情に深い感銘を受けました。日を追うごとにお互いが変わっていく姿に心から笑みがこぼれます。温かくて心が洗練される美しい作品でした。



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