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映画『ルーム』のあらすじ・感想

ママとジャックの親子は狭い部屋で日々を過ごしていた。外に出る事もなく、手に届かない窓から差す青い空と太陽の光がジャックにとって部屋以外の空間となっていた。誕生日を迎えたジャックはママとケーキを作り、外から度々訪れるオールドニックから車のラジコンをプレゼントされる。その夜、ママとオールドニックがある理由による争いが起き、翌日には部屋の電気がオフにされてしまう。冬場ということもあり、命の危機を感じたママはジャックに自分は誘拐され、本当の『世界』が外にあると告げられる。最初は信じず抵抗するジャックだったが、ママ(ジョイ)と共に『世界』に出る事を決意する。

制作 2015年
監督 レニー・アブラハムソン
出演キャスト ブリー・ラーソン  ジェイコブ・トレンブレイ / ジョアン・アレン / ウィリアム・H・メイシー

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動画動画ルームルーム』に併せて観たい映画一覧

  • リリーのすべて
  • アリスのままで
  • ブラック・スワン
  • ワンダー 君は太陽

家族愛をテーマにしている中で、『ワンダー 君は太陽』はトリーチャーコリンズ症候群により27回もの手術を受けた少年が差別から起こるいじめに塞ぎ込んでしまいますが、家族の支えと心を開いて一緒に学校生活を送ってくれるクラスメイトがとても魅力的で心暖まる作品となっており、『ルーム』でジャックを演じた子役が成長している姿を見る事も出来ますので、必見です。また、『6歳のボクが、大人になるまで。』6歳になる主人公・メイソンjr.が姉と共に離婚した母親の故郷に移り住み、再婚で新たな父親との生活、思春期からの親との確執が細かく描かれていきます。この作品は実際に6歳の男の子が18歳になるまでの12年間を同じ人物で撮影されています。つまり、完成にその歳月が掛かっている大作とも言えます。そのため、少年の価値観の変化、家族やクラスメイト達の関わりがリアルに描かれており、自然な姿を見る事が出来ます。

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映画『ルーム』を観た感想

20代男

親子2人が部屋の中で生活するシーンから始まり、その暗い部屋の異様さが普通ならば分かります。ですが、子どもにとってそれが普通であり常識なのだと感じる部分が強く見られ、逆に外が過ごすべき空間を否定しています。子どもにとってどちらを優先すべきなのかは一目瞭然なのですが、母親と部屋で暮らしているのが子どもにとっての幸せなのかと思えるシーンが胸を痛めさせます。そんな子どもが本当の世界に出る為の親子の絆、その後の展開で心を動かされない人はいないでしょう。
この作品は一見、異様さを醸し出しますが終始窺える親子愛溢れるものとなっていますので、愛情ある映画を好まれる方には突き刺さる作品とも言えます。

30代男

本作品ルームは、誘拐されて7年間施錠された天窓一つしかない部屋に監禁され生活しているジョイ(ブリー・ラーソン)と、そこで産み外の世界を知らずに部屋の中だけで育った5歳の息子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)の実話がベースとなった物語です。

息子のジャックはジョイと誘拐犯オールドニックとの間に出来た子供でした。それだけでもゾッとされる方もいるかと思いますが、ジョイはジャックを自分だけの子供として監禁された部屋の中で育てていた。部屋には、トイレやお風呂、キッチンにベッド、テレビにクローゼットなど最低限生活出来る物が用意されており、週に1度オールドニックが食べ物やビタミン剤などの物資を持ってくる。オールドニックが来る時は必ず、ジョイはジャックをクローゼットに隠しオールドニックに見られないようにしていた。もちろん、子供がいることを知っているオールドニックだが、なぜかこのオールドニックは少しだけ聞き分けがよく、ジョイの言うことを聞く一面があった。

何ヶ月も何年もこんな生活を強いられていたら、感覚もおかしくなります。この長い月日があったからこそオールドニックはジョイに少しの信頼を持ったのでしょう。そして、誘拐して施錠した部屋に監禁するくらいの男です。気が小さく、普段は人の言いなりになっている人間なのではないかと思います。

ジャックが5歳になって少しの時間が経過してから、ジョイは息子のジャックと自らの人生のために全てをかけて脱出を試みます。そのために、ジョイはジャックにテレビで見たものなどを基本に外の世界を教え始めます。そして、脱出作戦1回目を遂行しましたが敢えなく失敗に終わり、2回目ジャックが死んだことにした計画で脱出が成功、二人は見事に保護されるのです。

二人は病院で入院をしてから、実家に帰りますがマスコミがいっぱい。ジョイとオールドニックしか見たことのないジャックは、始めての大人たちに恐れを感じます。
ジャックの世界は部屋だけだったので見るもの全てが不思議、発見が沢山あります。自分もホタルを始めてみた時はもう大人でしたが本気でびっくりしました。それが5歳の物心がついたばかりの子供が初めての外の世界を見るとなると、カルチャーショック以上もモノがあると感じました。
更に、一度も部屋から出たことの無いジャックは免疫をつけたり、階段の上り下りも初めてで覚えていきます。簡単に表現すると歩ける新生児のようでした。

なんといっても、この7年間の間にジョイの父親と母親が離婚していたこと。正直、有りがちにも思えた一コマでした。
そして、帰ったジョイの実家に住んでいたのは母親と母親のボーイフレンド。時が立ち過ぎてしまったんだなと考えざるを得ませんでした。もし、ジョイが誘拐されなければ離婚することはなかったのだろうか?ジョイが居ても離婚していたのだろうか?個人的主観から言わせてもらうと、ジョイの居ない間に離婚してしまうなら、ジョイが居ても離婚していたのではないかと勝手に推測してしまいました。しかし、その心境は当人にしかわかりませんね。

また、ジョイは高校生の頃に誘拐されており、部分的に少女のままという感情も描かれていました。それは、強さともろく儚い一面。少女の心と母親であるという二面性に加え、誘拐に誘拐犯と生活していたという特殊な環境を乗り切ったのに、周りの人間も自分も許せないという入り混じった感情。このことに強いメッセージを感じました。
最後に、ジャックが徐々に人や環境に慣れていくシーンには可愛さと熱くなるものがありました。

ルームは、2015年トロント国際映画祭で観客賞受賞、2016年第88回アカデミー賞で作品賞ほか主要4部門にノミネートされた世界が注目した作品でした。ジョイ役のブリー・ラーソンと息子ジャック役のジェイコブ・トレンブレイの演技力の高さについつい引き込まれてしまいました。一度見ると心に焼き付いてしまう作品でした。

 

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